WORKS
衰退産業での生き残りをかけた「世界観を魅せるデザイン」
式 – SHIKI- プロジェクト
- 業界の生き残りをかけたブランド作り
- 「このままでは、淘汰され続ける業界の中で生き残れない」
そうご相談頂いたのは、河武醸造様という老舗の酒蔵でした。
時期は2019年の秋頃。河武醸造様は、三重県のちょうど中部にある多気郡多気町という場所で、伊勢神宮のある観光地や、海沿いの工業地帯とも違い、郊外の自然豊かな環境で古くから地元のお客様に愛される酒造りを行ってきました。
しかし人口減少、顧客の高齢化、日本酒離れで業界全体の販売量は低下しており、河武醸造様も次の一手を打ちたいが具体的な進め方がわからず、不安を抱えているとのこと。
新しい顧客、新しいデザイン、新しい味…自分たちなりに取り組んできたものの、どこか場当たり的な、会社全体として確信の持てない状況でのご相談でした。
- 日本古来の神秘的な世界観をデザインで表現
- 「よくわからないけど、自分で買ったことは無い」
日本酒に関する一般のイメージは、そんな意見が大半。
しかし「日本酒はよくわからない」と思っている顧客に対して、売り手は、特定名称や山廃など、専門用語を使い商品の魅力を伝えていました。
知ってもらいたい売り手と、よくわからない消費者。この擦れ違いは、業界全体に共通する課題です。
そこで、こだわりや専門性など、売り手の伝えたいことを強調するのではなく、まずは「どうすれば顧客に受け入れて頂けるか?」「それも、河武醸造にしかない特徴を出しながら…」を主題に議論を行いました。
ご提案したのは、神秘的な世界観を楽しむブランド「式 - SHIKI-」。
伊勢神宮にまつわる神秘的なストーリーに加え、違いやコンセプトもより親しみやすいよう、専門的な要素は極力省いた内容に。
ターゲットは、競合の激しい若い女性や富裕層を避け、日本酒を入り口に日本古来の世界観に触れ楽しんで頂けるブランドをご提案しました。
- コロナ禍でも売上増大、ミシュラン掲載店での取り扱いも
- 「式 - SHIKI-」の発売後、まもなくコロナ禍が訪れました。しかし、業績は前年度を上回るという驚きの結果に。
既存銘柄の売上は飲食店を中心に下落し、イベント需要も落ち込む一方、その分空いた時間で式ブランドの新規営業に注力し、ピンチをチャンスに変えられたことが要因のひとつです。
2022年6月には取り扱い店舗は数十社に増え、有名ホテルやミシュランに掲載されているような飲食店でも取り扱っていただいています。
さらに著名なインフルエンサーから「ぜひ紹介したい」という声を頂くことも。
「淘汰され続ける業界の中で生き残れない」という不安から一歩踏み出したことが、新たなブランド「式 - SHIKI-」の誕生、さらに自社の明るい未来へつながることとなりました。
- PRODUCER:
- Masaya Hirose
- PLANNER:
- Makoto Hada
- DESIGNER:
- Hisamichi Kasai
- WEB DIRECTOR:
- Takashi Nakahara