PRESIDENT BLOG

2023.05.01 経営のこと

確固不抜の人生観

ケンブリッジ大学の研究によると、人は1日に最大35,000回の決断をしていると言われています。ルーティンということが言われていますが、それを習慣化することで、決断を楽にしているのかなと思います。しかし、習慣が楽なので、それがために人間は易きに流れがちです。

思い返せば、社長になるまでの自分は、会社が下請けということもあって、自分で経営判断をしているという感覚がありませんでした。社長になって、新規事業をしだしてから、すべてのこと、新しいことを決めていきました。

そのときの私は、父が急死し、父と同じ年代の役員の方がストレスから辞めたり、病気になられたりで、35歳の若さで急激に売上が
低下する会社を一人で経営をすることになりました。他に頼るものがない、これほど、怖いことがないですね。何を元に判断をしていけばいいのか?私は、その判断基準を探し勉強をしました。月に30冊ほど、経営の本を読んでいたと思います。今思えば、社長になりたての自分は、本当に未熟だったと思います。それは判断基準がなかったからです。だから、色々なことをするのですが、整合性がつかなくなったり社員がついてこれなくなったり、まあ、ひどいもんでした。損か?得か?というのが、最悪の判断基準ですから。

それで、ずっと、どういう判断をしたらいいのか?で悩んでいましたね。こういう経験をされている社長も多いんじゃないでしょうか。それで社長になって、最初は、戦略面、特にランチェスター経営に傾斜しました。ランチェスター経営のテープを購入し、何回も聞き、自分の判断になるようにしていました。

その後は、ドラッガーに傾斜しました。変革の哲学という本はもうボロボロになるまで読んでいますが、今でも、私の個性になっていると思います。

でも、最も影響を受けたのが、社長になって、8年目ぐらいですが稲盛さんの経営哲学で、それを判断基準にしていくために、1年間、CDを聞いたり、稲盛さんが影響を受けられた方の本を読みました。それで、中村天風さんの「真人生の探求」という本に出会い、深いところで、自分の人生観を確立することができました。43歳ぐらいですかね。

なので、8年かけて、徐々に経営者としての自分の判断基準が確立してきたと言えます。色々な失敗もありましたが・・それから、さらに13年が経ちましたが、基本、そのときの人生観は変化していません。

経営というのはトップの人生観が反映されたものです。稲盛さんも、それをよく言われます。だからこそ、トップが心を高めて、それを社員の方と共有しなさいと常におっしゃっていました。

人間は常に何かに影響を受けています。自分で決めたと思っているのですが、誰かから受けた暗示が潜在意識に蓄積し、それが
観念となり、それをベースに判断しているのです。特に、怒り、悲しみ、恐れというネガティブなものに影響を受けやすいです。我々が思っているより、受けやすいです。

しかし、それでは流されてしまいます。自分の人生も周囲の人生も不幸にしていきます。運命を変えて、素晴らしい人生にしていくには、自分が確固不抜な人生観を持ち、それを判断基準にしていくことが重要です。そのことが経営という航海を自分の思った方向で操縦できる元です。

なんでも自分のエゴを通せと言うわけでなく、人に従う場合でも、自分なりのはっきりした判断で、自分の人生観に照らして判断していくことが大事です。経営をするのに、最も大事なのが、この確固不抜な人生観から出される正しい判断基準です。これがないと組織を不幸に導いてしまうと思います。

そして、どうすれば、それが取得できるかというと、これも実践するしかありません。実践して、これは本物だとか、腹でわかるようになります。これは例え、稲盛さんや中村天風さんという本物でも、それを自分で使えるようにレベルを上げていかないと使えないんですね。なので、結局は近道はないということですかね。