PRESIDENT BLOG
経営というのは、鋭い観察眼と数字に対する意識というのは必要だろうと思いますしかし、同時に私が意識しているのが、考えない、あえて鈍くしておくということをつくるということです。
これ、どういうことかというと、例えば、ある仕事を任せるとすると短期的に赤字になっていたり、お金の出費がかさんだりということが多々あります。しかし、これを気にしすぎると、口をだしてしまい、精神的にもイライラしてしまいます。
気にはかけないといけませんが、あえて、ここについては、鈍くしておこうと、自分の注意をコントロールするわけです。もっと具体的に言うと、1年間でこれぐらい損がでてもいいと腹をくくるわけです。
もちろん、でないように相談があれば一緒に考えたりしたりします。ですが、任せてしまった以上、神経質に口をだすと、その人の成長もないですし、結果、会社にもよくないです。
もう一つは考えないということですが、これは例えば、18年前に大変な会社の危機がありましたが、そのときに、ボーナスをあまり高くないが一定比率で出すということを決めました。その代わり給与を上げようと努力してきました。社員にとってはその方がいいはずです。ボーナスについても、業績が良ければ期末に3回目をだすようにしました。これによって、年に2回のボーナスをどうするか?というのは考えなくていいわけです。もし、これを考えていたら必ず下げたりなくしたりしていたと思います。社長になった当時は、本当に厳しかったですから。
もちろん、全部、考えない、鈍くしておくというわけでなく、自分が直接かかわらないといけないところは、鋭く全神経を集中してやります。全体の方向性とか戦略とか組織とか最終の決断など、また、そのようなものでなくとも、どのような些細に思える判断でも自分に求められるところはします。これは、有意注意ということですね。つまり、経営者は、自分をコントロールし考えないところ、鈍くしておくところ、鋭くしておくところをわけてつくっておくということなんです。
私の知人の経営者の方が、カメラで社員のパソコン画面を監視するかどうかということで一度相談されたことがあり、私は即座に『それは止めた方がいいです』といいましたが、結局その人はしていました。『津村さんとは業種が違うから』と言われていましたが、それなら初めから相談する意味はないと思うのですが、肯定してほしかったということでしょうね。
ですが、おそらくうまくいっていないはずです。社員のパソコンを監視する、そこは鈍くしておくところではないかなと私は思います。