PRESIDENT BLOG

2022.01.11 経営のこと

センスメイキング理論

この正月休みに、経営学の最新のものを勉強しようと思って、本を買って読んだのが、センスメイキングという本です。クリスチャン・マスビアウという人間科学を専門にしている方が書いた本です。センスメイキングとは直訳すると納得し、理解するという意味らしいですね。早稲田大の先生は、『腹落ちの理論』とおっしゃっていました。

近年、IT技術の進化により、得にビックデータからのリコメンドということが、すべてのものを解決するというような大きい風潮があります。それのアンチテーゼのような理論ですかね。

人間がイメージし、それを集団で共有することで、それが実現に向かうという効果があり、それはAIではできないので、人間の能力を重視するようにしなければならないというような感じです。人間の感性の可能性の追求という意味で、デザイン思考と同じような考えなのかなと思ったんですが、著書ではデザイン思考との比較もふれられていて、(どちらかというとネガティブに)デザイン思考がデザイナー的な思考方法でイノベーションのアイデアに偏っていて、センスメイキングでは、そうではなく、誰か一人がイメージし、それを組織で共有することが良いというような感じでした。あくまでもざっくり言うとですが・・

全体の感想から言うと、その通りだと、私は思いました。ただ、AIによるリコメンド、デザイン思考、どちらも意味があり、否定すべきものでもないのかなと思いました。前者については、やはり、今後、相当な発展がみられ、やはり、世の中としては、画期的な影響をもたらすだろうと思っています。後者については、デザイナー的思考でないといけないということではないですが、クリエイティブとして、そういう思考法を日常的にしているということは、やはり、固定概念をブレークスルーするのに一定の効果はあると思っています。例えば、うちがやっていることを銀行の担当者ができるかというとできないと思いますから。

ただ、なにがその通りと思う部分をお話しすると、人間の能力についてです。以前に歴史学でサピエンス全史という本を読みましたが、その中で人類というのは、我々ホモサピエンスだけでなく、他の人類もいて、その中で、ホモサピエンスである我々だけが生き残ったらしいんですね。そして、それはなぜか?というと、我々人間にはフィクションをイメージし共有できる能力があるからだというのを学びました。

でも、これは何も私は新しいことでもないと思っていまして、我々のフィロソフィでも『見えてくるまで考える』とか『思いは実現する』というようなのもあります。それを科学的にとらえ直したというようなことなのかなと思いました。例えば、我々の会社でも、『中小企業の企画部を代行する』というミッションがありますが、その商品・サービスが具体的にあるというより、仕事と収益ポイントを組み合わせてビジネスモデルができているんですが、社員皆が、そのことを追求していけば会社として発展すると信じているんですね。皆がそれを信じることができれば、必ずそれを実現する方向に向かう、そういうことだと思います。

このことについてはその通りなんですが、私の理解が不十分なのかもしれないですが、この本では自分としてはそこに至る具体的なスキームはイメージできませんでした。そこは、このセンスメイキング理論の今後の課題かなと思いました。具体化できないと事業としては使いづらいので。